調剤薬局薬剤師が在宅医療に取り組む場合、介護保険を使うか医療保険を使うか考えなければなりません。
居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導の違いも含めて解説しています。
調剤薬局薬剤師の在宅報酬:介護保険か医療保険か
調剤薬局が在宅医療に介入する場合は、介護が必要な方[要介護・要支援の認定がある方]には介護保険の「居宅療養管理指導料」が適応されます。
介護の認定が下りてない方には医療保険の「在宅患者訪問薬剤管理指導料」が適応されます。
介護保険適応者において、「居宅療養管理指導料」は介護報酬になるため、国保連合会に請求します。
その他お薬に関わる「調剤技術料」や「薬剤料」などは調剤報酬になるため、国保連合会あるいは社会保険診療報酬支払基金へ請求します。
医療保険適応者は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を含む全てが調剤報酬になるため、国保連合会あるいは社会保険診療報酬支払基金へ請求します。
薬剤師の居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導の違い、比較
居宅療養管理指導と在宅患者訪問薬剤管理指導で実際に指導する内容は大きく変わりありません。
しかし、対象の保険が異なることから、請求先や請求できる点数、対象者が以下のように異なってきます。
居宅療養管理指導料 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料 | |
---|---|---|
請求先 | 国保連合会 | 患者の加入保険先 [国保連合会or社会保険] |
点数 | 単一建物1人のみ 507単位 |
単一建物1人のみ 650点 |
単一建物2人以上9人以下 376単位 |
単一建物2人以上9人以下 320点 |
|
単一建物10人以上 344単位 |
単一建物10人以上を算定 290点 |
|
対象者[保険] | 要介護or要支援の患者 | 医師が通院が困難と認めた患者 |
対象者[距離制限] | – | 16km以内 |
薬剤師1人の算定人数 | – | 1日5回[H28.3まで] →1週間に40回上限[H28.4より] |
会計 | 他と区別する | 医療保険内でOK |
生活保護者の扱い | 市役所or福祉事務所に「介護券」を請求 | 市役所or福祉事務所に「調剤券」を請求 |
管理指導記録の保存期間 | 完結の日から2年 [市町村によって異なる場合あり] |
最終記録の日から3年 [市町村によって異なる場合あり] |
以上のような違いがあるため、事前に行う届出や準備する書類も異なってきます。
居宅療養管理指導料 | 在宅患者訪問薬剤管理指導料 | |
---|---|---|
介護給付費の請求及び受領に関する届出:国保連合会へ提出 | ○ | – |
在宅患者訪問薬剤管理指導の届出 :各厚生局へ提出 |
– | ○ |
運営規程の概要を薬局内へ掲示 | ○ | – |
介護保険サービス提供事業者としての掲示 | ○ | – |
訪問薬剤管理指導の届出を行っている旨の掲示 | – | ○ |
患者への説明と同意 | ○ [重要事項説明書と契約書が必須] |
○ [口頭でも可] |
薬学的管理指導計画書の作成 | ○ | ○ |
介護保険[居宅療養管理指導料]の領収書 | ○ | – |
訪問薬剤管理指導記録簿 [薬歴でもOK] |
○ | ○ |
医師・ケアマネジャーへの 訪問薬剤指導報告書作成 |
○ | ○[医師のみ] |